「BtoB営業は稼げる」とよく言われる。ただ、稼げる人と稼げない人の差がやたら大きい職種でもある、と個人的には感じている。同じ会社の同期でも、5年後に100万円以上の年収差がついているケースは珍しくない。外資系IT企業でフィールドセールスを18年やってきた経験から言わせてもらうと、年収の差は「営業力」だけで決まるわけでもないし、「運」だけで決まるわけでもない。構造的な話が多い。
この記事では、27〜38歳のBtoB営業パーソン──そろそろ年収の伸びが鈍化してきた、あるいは「自分の市場価値ってどのくらいだろう」と気になり始めた方──に向けて、現場感のある話を書いていく。
正直に話す:私が一番やらかした失敗
年収の話の前に、一つ打ち明けておきたい。
キャリアの序盤、公共系の大口案件で初めて本格的な提案機会をもらったときのことだ。会議室に通され、先方の担当者が5名ほど座っている。緊張しながら提案書を配り、説明を始めた。途中で先方の一人が「ちょっと待って、これ……逆じゃないですか」と指摘してくれた。
配った資料が、全員分、逆さまだった。
上下逆さまではなく、表紙を後ろにして配ってしまっていた。5名全員が最初からページを逆にめくりながら聞いてくれていたわけだ。気づいたときの顔の熱さは今でも覚えている。先方の一人が「大丈夫ですよ、続けてください」と言ってくれた優しさに助けられたが、その日の提案は当然うまくいかなかった。
なぜこれを書いたかというと、年収を上げようとするとき、多くの人が「スキル」や「実績」ばかり見る。でも実際には、こういう「現場での凡ミスをなくす」「場慣れする」という部分が、長期的なキャリアの土台になると思っているからだ。
BtoB営業の年収が上がりやすい「構造」を理解する
単価と商材の種類が、年収の天井を決める
これは身も蓋もない話だが、扱う商材の単価が年収に直結する。私の肌感では、数百万円規模の商材を扱っているチームと、数千万〜数億円規模の商材を扱っているチームとでは、インセンティブの絶対額がざっくり2〜3倍は変わってくる。同じ「営業」というタイトルでも、これだけ条件が違う。
法人向けSaaS、インフラ系ソリューション、ERP、セキュリティ製品──こういった高単価商材を扱える環境にいるかどうかが、まず一つの分岐点になる。
「評価される行動」が会社によって全然違う
もう一つ、現場にいると強く感じることがある。BtoB営業の評価基準は、会社によって驚くほどバラバラだということだ。
ある会社では「新規開拓件数」が最重視される。別の会社では「既存顧客の契約継続率」が最優先。外資系だと「クォーターごとの目標達成率」が全てで、それ以外はほぼ関係ない、という文化もある。
問題は、自分が得意なスタイルと、今いる会社の評価基準がずれている場合だ。いくら頑張っても「評価されない努力」を積み上げているだけになる。これは転職理由として非常によく聞くし、実際に私の周囲でもそういう理由で動いた人が多い。
年収を上げるための3つの現実的なアプローチ
社内での「ポジション変更」を狙う
転職より先に考えてほしいのが、社内異動や役割変更だ。特に大手企業の場合、部門によって年収レンジが大きく違う。私が知っている範囲では、同じ「営業」でも、エンタープライズ担当とSMB担当では、インセンティブ設計が別物という会社もある。
マネージャーに打診する前に、社内の他部門の求人情報(社内公募制度)を調べる。まずここから始めると、リスクゼロで選択肢が広がることがある。
転職で「市場価値」を確認する
30代前半までは、転職によって年収が上がりやすい時期だと思う。ただし、ここで注意したいのが「なんとなくの転職」だ。BtoB営業の経験は確かに市場価値が高いが、職種・業界・商材のどれを軸にするかによって、評価が全然変わる。
たとえば「ルート営業10年」と「新規開拓中心の営業5年」では、外資系へ転職する際の評価が逆転することもある。自分のどの経験がどの市場で評価されるかを、まず客観的に把握することが大事だ。
そのために役立つのが、BtoB営業の転職支援に実績のあるエージェントへの相談だ。
【中盤CTA】自分の市場価値、今すぐ確認してみる
「転職するかどうかはまだわからない」という段階でも構わない。BtoB営業に特化した転職エージェントに登録すれば、今の年収が市場水準と比べてどのくらいかを把握できる。相談は無料で、現役の営業職が持つスキルがどう評価されるかを具体的に教えてくれる。
外資系・スタートアップへの移行を検討する
個人的な実感だが、年収500〜700万円台のBtoB営業が一気に年収を上げるルートとして、外資系ITへの転職は今でも有効だと思う。基本給+インセンティブの構造が明確で、目標達成率に応じて報酬が素直に上がりやすい。
一方でスタートアップは、ストックオプション込みで考えると魅力的に映ることがあるが、未上場の段階では絵に描いた餅になることも多い。正確な数値は知らないが、IPOまで到達する企業は全体のごく一部だろう。夢より現金、という価値観の人には向かないかもしれない。
「稼げる営業」が実はやっていること
決裁者特定の精度が段違い
現場でよく見かける光景がある。提案活動を3ヶ月続けた後、「最終的には上の人間が判断する」と言われて商談が止まる、というケースだ。
私も若い頃、先方の部長と懸命に関係を構築し、社内でも「いける」という雰囲気になっていた案件で、最後の最後に役員からひっくり返された経験がある。あとで聞けば、その部長には決裁権がほぼなかった。
稼いでいる営業は、初回商談の時点で「予算の決め方」「稟議の流れ」「最終決定者」を自然な会話の中で確認している。強引にではなく、「御社ではこういった導入は、どういったプロセスで進まれるんですか?」という聞き方で。これは教えてもらうものではなく、場数を踏む中で自然に身につくスキルだと思う。
「情報の非対称性」を意識して提案する
これはBtoB営業特有の話だが、顧客が「市場の相場」を知らないことは意外と多い。特に公共系・製造業の顧客は、他社との比較が少ないため、価格やスペックの感覚がずれていることがある。
稼いでいる営業は、この情報の非対称性を誠実に使う。「他社ではこういう課題が出ています」「業界全体の傾向として〜」という形で情報提供することで、信頼を獲得しながら案件を主導する。情報を武器にするのではなく、信頼構築の材料にする、という感覚だ。
まとめ:年収を上げるための「順番」
BtoB営業の年収を上げるには、まず「自分が今いる構造」を把握することから始めるのが近道だと思う。商材の単価、評価基準のミスマッチ、市場での自分の位置──これらを整理せずに闇雲に頑張っても、報われないことが多い。社内での選択肢を探した上で、それでも限界があると感じたなら転職を検討する。その際は、BtoB営業の実態を知っているエージェントを使うことで、的外れな求人を避けられる。年収800万〜1,000万円台への道は、突然開くのではなく、こういった積み重ねの先にあると、個人的には感じている。
【末尾CTA】非公開求人で、BtoB営業のキャリアを広げる
年収800万円以上のBtoB営業ポジションの多くは、一般公開されていない。転職を急いでいなくても、まず非公開求人の実態を見ておくだけで、自分のキャリアの選択肢が広がることがある。登録無料、面談もオンライン対応可。
この記事を読んで「転職前に自分のスキルを整理したい」と感じた方は、「BtoB営業 職務経歴書 書き方」や「法人営業 転職 30代」といったテーマも参考になるかもしれない。年収交渉の具体的な進め方については、別記事で詳しく触れているのでそちらも読んでみてほしい。


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